本研究では、水不足の問題を抱える瀬戸内や島嶼部において、持続的な地下水の利用、特に渇水時の地下水利用及び質的な保全を念頭において、揚水操作による人工涵養手法及び地下水汚染浄化手法の開発を目的として、研究を遂行した。特に、地下水汚染が顕在化し水資源が不足しがちな、広島県生口島、芦田川流域、香川県丸亀平野を対象として調査を行った。成果は以下のとおりである。 1)生口島試験地において、地下水中の窒素汚染および自然浄化の実態を評価し、地下水流速に比例した浄化ポテンシャルの上昇を確認した。 2)丸亀平野で実施されている下水処理水の人工涵養について調査し、地下水への質的影響を自然浄化を考慮して明らかにした。現状、十分に浄化されていることが確認できている。 3)生口島試験地において、揚水実験(予備実験)を実施し、人工浄化実験手法を決定した。 4)芦田川流域において、自然スケールでの汚染河川水の地下水涵養とその浄化機能について確認した。 以上の成果は、研究会、国内学会、国際学会で研究発表を通して報告した。今後、さらに公表していく予定である。
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