焼酎粕と生ゴミ処理後の乾燥残渣を、シマミミズによって分解し、堆肥として活用するための基礎的研究を行った。焼酎粕と生ゴミ残渣を市販の黒土に混ぜ、市販のシマミミズを入れて数週間から数カ月間、適度に切り返しを行いながら堆肥化した。ミミズによる分解物が混合している土(以下、ミミズ堆肥とする)を濃硫酸-過酸化水素混合溶液で分解し、分解液中に含まれる窒素、リン、カリウム、炭素の量を測定した。 黒土に焼酎粕や生ゴミ残渣を混合してもシマミミズにとって悪い環境ではなく、生存可能であった。ただし、焼酎粕と生ゴミ残渣を一度に大量に混合すると土の温度がかなり上昇し、冬季においては室温が低いため、さほど問題にはならないが、夏季には50℃近くになってしまい、ミミズが死滅してしまうことがわかった。そこで当初、一週間に一度、焼酎粕と生ゴミ残渣を投入していたが、少量ずつ、毎日あるいは2日に一度、投入することにした。 どのミミズ堆肥においても、黒土と比較してC/N比が下がっている。これはミミズによって有機物が分解され、炭素分はCO_2として排出されたが、窒素分は土中に残ったためと示唆される。 またミミズ堆肥を使って、鉢植えでミニトマトを栽培した。比較として、(1)黒土のみ、(2)牛糞堆肥を混合したもの、(3)黒土に焼酎粕と生ゴミ残渣を混ぜたもの(ミミズによる分解がないサンプル)も同時に栽培したところ、(1)と(3)のミニトマトは生育が悪く、特に(3)はすぐに枯れてしまった。しかし、ミミズ堆肥化より、若干(2)の生育がよく、成分の調整が必要である。別のミミズ堆肥でキャベツを栽培してみたところ、この場合は、牛糞堆肥よりはるかに生育がよく、堆肥として有効であることがわかった。 本研究は特殊な装置や熟練した技術を必要することなく、資源として有用な焼酎粕と生ゴミ残渣を堆肥化する研究であり、今後、さらに詳細な分析を行う予定である。
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