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2009 年度 実績報告書

nano-Ptのmolecular biomimetics研究

研究課題

研究課題/領域番号 20651030
研究機関東京大学

研究代表者

宮本 有正  東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (60157691)

キーワード白金 / ナノ粒子 / 活性酸素消去 / フリーラディカル消去 / 電子伝達系I様活性 / 線虫寿命延長 / シグナルペプチド / アクティブターゲティング
研究概要

研究1:nano-Ptによるfree radicalの消去に関する論文は、科学雑誌に発表された。研究3:細胞膜透過性昂進ペプチド(cell penetrating peptide : CPP)のC末端に白金結合ペプチド(platinum binding peptide : PtBP)を連結したfusion proteinを作製し、nano-Ptを抱合した。抱合したnano-Ptで野生型N2を処理した場合、抱合していないnano-Ptと比較して1/100の濃度で、同程度の寿命延長効果を示した。線虫に取り込まれたnano-Ptは、rhodamine-PtBPを使用して蛍光顕微鏡下で観察できた。電顕でのnano-Ptの詳細な細胞内分布は観察できなかった。転写因子DAF-16やSKN-1Cの機能欠損変異体では、nano-Ptによる寿命延長効果は観察されず、nano-Ptが単にROSを消去して寿命を延長していないことが示唆された。1956年にHarmanによって提唱された「Free radical theory of aging」だけでは説明が付かない。電子伝達系複合体I欠損株に関しては、CPPとしてTATを用いたfusion proteinを抱合したnano-Ptで、野生型N2と比較してはるかに大きな寿命延長が観察された。ROSの体内量やnano-PtによるROSの除去効果は野生型と違いが無く、複合体I様活性でNADHをNAD^+に酸化していることが寿命延長に寄与していると考えられる。Mitochondriaへのターゲティングは、まだ上手くいっていない。研究4:CPPとして、線虫ではTATとPep-1が、ヒト肝培養細胞HepG2ではTATとR7が細胞膜透過性昂進に働いた。但し、高濃度にnano-Ptを取り込ませ.ても、急性酸化ストレス耐性は上昇せずかえって低下してしまった。その原因がまだ不明である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] The effect of TAT conjugated platinum nanoparticles on lifespan in a nematode Caenorhabditis elegans model2010

    • 著者名/発表者名
      Juewon Kim, et al.
    • 雑誌名

      Biomaterials (掲載確定)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] In vitro free radical scavenging activity of platinum nanoparticles2009

    • 著者名/発表者名
      Aki Watanabe, et al.
    • 雑誌名

      Nanotechnology 20

      ページ: 455105

    • 査読あり
  • [学会発表] 保護剤としての膜透過性ペプチドに因る白金ナノ粒子の細胞移行性の改善2009

    • 著者名/発表者名
      大内彩華, 他
    • 学会等名
      日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2009-12-09
  • [学会発表] 白金ナノ粒子による電子伝達系複合体I機能欠損線虫の寿命延長効果2009

    • 著者名/発表者名
      坂上友理, 他
    • 学会等名
      日本加齢医学会総会
    • 発表場所
      ホテル日航東京
    • 年月日
      2009-05-28
  • [学会発表] 膜透過昂進性シグナルペプチドが配位した白金ナノ粒子の線虫老化遅延効果2009

    • 著者名/発表者名
      金周元, 他
    • 学会等名
      日本加齢医学会総会
    • 発表場所
      ホテル日航東京
    • 年月日
      2009-05-28

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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