カイコガのゲノム配列情報から、これまで我々が性状を明らかにしてきたBmLBPとBmMBPの他に4種類のCタイプレクチンの遺伝子が見つかった。そこでまず、これらCタイプレクチンの機能を予測する目的で、発現場所と微生物感染によって発現が誘導されるか否か、結合対象微生物は何であるかに関して調査を行った。その結果、BmIMLは幼虫体液中に常在したが、細菌感染による産生の誘導は認められなかった。また、グラム陽性菌、グラム陰性菌、真菌への結合性は認められなかった。BmLEL1とBmLEL2は体液中に痕跡程度に存在し、細菌感染による産生の誘導は認められず、一部のグラム陽性菌に対してのみ結合性が認められた。また、BmLEL2は精巣で産生され、その産生は細菌感染による増大することが明らかになった。一方、BmLEL3は体液中の存在も微生物への結合性も確認できなかった。したがって、カイコガ幼虫体液中ではBmLBPとBmMBPの2種類だけが微生物認識レクチンとして働いていること、すなわち、BmLBPとBmMBPの2種類だけでグラム陽性菌、グラム陰性菌、真菌を含むほとんどの微生物を認識していることが考えられた。そこで、次にBmLBPとBmMBPが認識する微生物を詳細に解析することを目的にして、更には様々な微生物を十把一からげに認識できるシステムの構築を目指して、まず組換えタンパク質としてBmLBPとBmMBPを作り、これらに対するウサギ血清を作製した。
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