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2009 年度 実績報告書

絶滅危惧種の保全を目指した林床植物の菌根共生系の多様性と菌根菌ネットワークの解明

研究課題

研究課題/領域番号 20651061
研究機関三重大学

研究代表者

松田 陽介  三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 准教授 (30324552)

研究分担者 伊藤 進一郎  三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 教授 (90092139)
キーワードイチヤクソウ / キンラン / 菌根菌 / ITS領域 / アーブトイド菌根 / ラン菌根 / 菌根菌ネットワーク
研究概要

イチヤクソウの栄養獲得様式を明らかにするための端緒として,異なる光環境下で生育する個体の菌根形成とその形成率の季節変化,定着する菌類を調べた.調査は,三重県津市のコナラ・クヌギ二次林で行った.2007年1月から11月にかけて,合計6回,イチヤクソウ3個体ずつを明所,暗所から採取した.採取個体の光環境は,各個体と林外の被陰されない場所における照度の比較にもとづき相対照度として算出した.各個体の根系は,基部,中央部,先端部の3つの部位に大別し,各部位から10~30枚の切片を作成してから,光学顕微鏡観察を行った.根の表皮細胞に貫入する菌根菌菌糸の侵入形態にもとづき6タイプ(コイル初期,コイル,分解初期,分解,コイルなし,デンプン)に大別し,その割合を測定した.上記調査のために採取した個体,さらにDNA解析用に採取した個体の菌根からDNA抽出をしてからITS領域のシークエンス解析を行った.得られたDNA塩基配列はBlast解析を行った.採取した全ての根で菌糸コイルが確認されたことから,イチヤクソウにおいてアーブトイド菌根の形成を明示した.明所,暗所における菌糸コイルの形成率は,それぞれ16.8%から46.2%,14.1%から58.1%と季節によって異なり,上層木により林冠が被覆される5月,7月の夏期において高くなる傾向を示した.菌糸コイルの形成割合は根の部位により異なり,根の先端部から基部にかけて減少する傾向にあった.根に定着する菌種として,現在までに,主としてベニタケ科が推定されている.以上より,イチヤクソウは林床の光環境が悪くなる条件下で菌根形成を,特に根の先端部で高頻度に行なうと考えられた.さらに,イチヤクソウに定着する菌根菌種はいずれも外生菌根菌種と分類学的に同一であるため,上層木のコナラ,クヌギに外生菌根を形成する菌と菌糸を介して繋がっている可能性がある.

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] 東海地方の海岸クロマツ林における Cenococcum geophilum の出現割合2010

    • 著者名/発表者名
      竹内裕也, ら
    • 雑誌名

      中部森林研究 58

      ページ: 19-20

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Colonization patterns of mycorrhizal fungi associated with two rare orchids, Cephalanthera falcata and C. erecta.2009

    • 著者名/発表者名
      松田陽介, et al.
    • 雑誌名

      Ecological Research 24

      ページ: 1023-1031

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Ectomycorrhizal fungal community of naturally regenerated Pinus thunbergii seedlings in a coastal pine forest.2009

    • 著者名/発表者名
      松田陽介, et al.
    • 雑誌名

      Journal of Forest Research 14

      ページ: 335-341

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ICOM6参加記 -地球の裏側に-2009

    • 著者名/発表者名
      松田陽介
    • 雑誌名

      菌学会ニュースレター 2009-4

      ページ: 1-4

  • [学会発表] キンランに定着する菌根菌の根系内における多様性2009

    • 著者名/発表者名
      柴山友里, ら
    • 学会等名
      2009年度菌根研究会
    • 発表場所
      鳥取大学 (鳥取県)
    • 年月日
      2009-12-05
  • [学会発表] 東海地方の海岸クロマツ林における Cenococcum geophilum の出現割合2009

    • 著者名/発表者名
      竹内裕也, ら
    • 学会等名
      第58回日本林学会中部支部大会
    • 発表場所
      名古屋大学 (愛知県)
    • 年月日
      2009-10-10
  • [学会発表] 三重県のヒノキ人工林内に生息する外生菌根菌2009

    • 著者名/発表者名
      杉山一葉, ら
    • 学会等名
      第58回日本林学会中部支部大会
    • 発表場所
      名古屋大学 (愛知県)
    • 年月日
      2009-10-10
  • [学会発表] 菌根を通してみた森林生態系2009

    • 著者名/発表者名
      松田陽介
    • 学会等名
      菌類生態学講座
    • 発表場所
      大阪市立自然史博物館 (大阪府)
    • 年月日
      2009-09-22
  • [学会発表] 異なる光環境に生育するイチヤクソウの菌根の季節変化と定着する菌根菌2009

    • 著者名/発表者名
      松田陽介, ら
    • 学会等名
      日本菌学会第53回大会
    • 発表場所
      鳥取大学 (鳥取県)
    • 年月日
      2009-08-21
  • [学会発表] Seasonal changes and associating fungi of Pyrola japonica mycorrhizas growing under different light environment2009

    • 著者名/発表者名
      松田陽介, et al.
    • 学会等名
      Sixth International Conference on Mycorrhiza
    • 発表場所
      ベロオリゾンチ, ブラジル
    • 年月日
      2009-08-10

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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