研究課題/領域番号 |
20651065
|
研究種目 |
萌芽研究
|
研究機関 | 京都市立看護短期大学 |
研究代表者 |
磯邉 厚子 京都市立看護短期大学, 看護科, 講師 (40442256)
|
研究分担者 |
井関 敦子 三重大学, 医学部, 助教 (10363201)
石村 久美子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (90280073)
三木 真知 京都市立看護短期大学, 看護科, 教授 (20190613)
|
キーワード | 母子保健 / 農園・農村 / 潜在能力アプローチ / 格差と不平等 / 福祉政策 |
研究概要 |
平成20年8月、スリランカを訪問しスリランカの人間開発の背景である福祉政策を調査した。具体的には社会福祉省、サムルディ局、労働省、国際援助機関(WHO)、JICAなどから情報を得、農園部を含めて当国の福祉政策のプログラムを把握した。それらが国民の生活へどのように機能しているのか情報収集を行い、「世界の社会福祉年鑑2008」(旬報社)にまとめた。一方、妊産婦の健康状態が最も不良な農園の福祉と、国全体で適用されている福祉とどのような違いがあるのか、制度上の比較と事象の背景を「第23回日本国際保健医療学会」で掲示・発表を行った。平成21年2月、母子の潜在能力に影響する要件(政策、経済、社会、文化的条件及びコミュニティの特性、個々の健康行動など)と母子の健康状態との関連性を知るため、南部州ゴール県の2つの農村と1つの農園で、90名の妊婦の健康診断及び生活背景調査を実施した(20年度農園調査予定のヌワラエリヤ県が政情不安で急遽変更したため)。分析段階であるが、貧血検査(ヘモグロビン値)に関して言えば、8-10g/dlの中等度貧血者がみられたが、重症の貧血者はいなかった。母子保健システム(健診チェックの必要性)の認知度は高く、当国の公的政策の浸透が妊婦の健康に重要な潜在能力であることを確認した。周産期リスクや緊急時の受診システムも認知しており、交通や地理的条件など不便はあるものの、セルフケア能力は知識上良好であった。しかしコミュニティでの主体的健康行動や、家庭内及び家族計画に関する女性の意思決定の自由度は乏しかった。一方、農園の妊婦は中等度貧血及び中等度貧血に近い妊婦が7割、教育度も7割が小学校未就学及び中退・小卒であり、月収入も農村に比べて低かった。今後妊婦の知識と(当国の)周産期の課題との関連性や地域資源等を追求すると共に、農園の妊婦の潜在能力の可能性について調査続行する。
|