本年度は、第1に、ドイツの医療制度改革に関して資料的に追跡した。それによってその外郭を理解することを中心にして資料分析を行っている。第2に、その議論の背景として、第2に、医学史的な歴史的な諸問題にかかわる資料の収集を心がけた。この点では、とりわけ、コピー、PDFファイル、マイクロフィルムなどでの収集となった。第3に、理論的な基礎研究として、ヘーゲルの法哲学に関する資料を収集しつつ、学生との研究会を4月から始め、次年度もまた続ける予定である。 上述のような研究の方向に基づき、本年度は、歴史的問題として、医療倫理の核に座る「人体実験」問題を「リューベック事件」の資料の分析を行いながら、検討した。この問題に関しては、日本ではまだきちんとした分析がなされていないし、欧米でも、最近ドイツで報告がなされているだけである。この問題に関しては、私は、「リューベックの<死の舞踏>-ユーリウス・モーゼスとドイツにおける「人体実験」」と題して論文を執筆した。その際、この事件の問題となったBCG問題は、現在の問題でもあり、WHO、日本の感染症研究所、ドイッのローベルト・コッホ研究所、そしてフランスのパスツール研究所のホームページを定期的に検索し、それによって現状を確認しながら資料収集に努め、執筆した。また研究報告として、第1に、この問題の現実的な意味をいわゆる「生活習慣病」問題と現代社会の問題として捉え、報告した。この報告に関しては、次年度は、報告原稿に基づき、論文化するつもりである。「ドイツ医療制度改革」にかんする資料の解読を行った。またドイツの「医療制度改革」の方向性についての分析は研究発表を行うつもりである。
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