研究課題/領域番号 |
20652009
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
本間 巖 筑波技術大学, 産業技術学部, 准教授 (30310189)
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研究分担者 |
児玉 信正 筑波技術大学, 産業技術学部, 准教授 (40234786)
中島 千絵 玉川大学, 芸術学部, 助教 (00459299)
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キーワード | 聴覚障害 / 音声情報 / 造形イメージ / 造形用語 / 造形的価値観 / 言語理解の形成 / 抽象概念 / 用語と手話 |
研究概要 |
昨年度から本年度にかけて得られた映像サンプルは合計、6校、小学部~高等部、および専攻科の延べ10学年、13科目、18時限分(約900分相当)となった。本年度はこれら、収集した授業の映像サンプルからの文字おこしによって文宇データ化するとともに、それによって浮上してきた不明部分の情報補完のため、各学校へ再訪問し、追跡調査を行った。 これらの文字データから、教師側からの「抽象的な概念を説明する言葉の投げかけ」に関して注目すべき観点が多数見受けられた。種々の専門的な用語に対し、多方面からの表現の置き換えによって理解を促すプロセスである。これらは、生徒が潜在的に持っている語彙範囲を広げ、価値観形成に結び付けようとする効果を狙ったものであるが、その苦労の様子がうかがい知れる場面である。やはりこの点に関しては各校、各教員ともに相当な神経を使い、工夫を講じているようである。それだけに重要な要素が潜んでいると思われる。今後、これらに焦点をあてて精査を急ぎたい。 また、一部の文字化された授業に関して、授業担当教員との協議を踏まえ、本研究のテーマである「造形に関する抽象概念」を直接的に扱ったモデル授業を特別に模擬的に企画していただき、映像に収め文字化することができた。授業コンセプトの点で、他の既収集の授業サンプルとの比較検討のうえで、極めて有効なサンプルと思われる。ただし、受講生の理解度に関して追跡調査を要する。 今後の分析に関しては、健聴生徒の授業における言葉の扱いとの比較解析が必須であるが、撮影に際する個人情報保護等の諸問題のため授業取材の交渉には苦戦している。しかしながら、視点を変えた新たな取材方法を提示することにより、年度末になって授業取材の可能性が見えてきた。現在交渉中であり、実現の方向に向かって具体化しつつある。
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