研究課題/領域番号 |
20652013
|
研究機関 | 女子美術大学 |
研究代表者 |
奥山 亜喜子 女子美術大学, 芸術学部, 准教授 (70317593)
|
研究分担者 |
山田 朋子 女子美術大学短期大学部, 教職課程, 教授 (50331418)
中力 えり 和光大学, 現代人間学部, 准教授 (50386520)
|
キーワード | 国民国家 / 表象文化論 / 「国民」概念 / 「外国人」イメージ / 国籍 / 差別 / 移民政策 / 統合 |
研究概要 |
本研究の目的は、ステレオタイプが典型的に現れる対象の一つとして、芸術作品に読み取ることができる固定化された「外国人」イメージの変遷を「国民国家」形成期から現代にいたるまで時系列的にとらえ、社会科学(法学・社会学・教育学)の視点から多角的に分析することである。 最終年度の平成22年度は、前年度までに得た知見をさらに深めるための調査活動も継続しつつ、研究を総括した。 海外調査はアメリカ合衆国のハワイ州とカリフォルニア州ロサンジェルスで実施した。アメリカ合衆国は、そもそも多様な人々を受容すべき必要が生じていたいわゆる移民の国であるが、中でもハワイ州とロサンジェルスは、日系移民のみならず他のアジア系移民を比較的多く受け入れてきたという状況が共通している。しかしながら両州の間には地政学的条件の違いも存在しているため、それが「外国人」受容・統合政策にどのような影響を及ぼしたのかを分析した。 研究の総括として、フランス、ドイツそしてアメリカにおいて収集した資料、日本において芸術学専攻の研究者の協力を得て収集した資料(芸術作品)並びに広島大学図書館における調査で得た、戦前の日本の教科書に見られる「外国人」の描かれ方についての第一次資料を用いて、時系列的に「外国人」が描かれた作品を整理した。その上で、前年度作成した基礎研究としての年表と照らし合わせながら、「外国人」イメージが固定化されて行く過程を社会科学のそれぞれの専攻分野の視点から分析した。その結果、社会状況に応じた外国人政策の変化(労働力、支配・興味の対象、敵対者、スケープゴートとしての存在など)が、芸術作品における「外国人」の描かれ方に影響を及ぼし、一方、そこで固定化されたイメージが「外国人」政策において利用されるという、芸術と政策の相互作用を確認することができた。
|