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2008 年度 実績報告書

「厚生芸術」の萌芽的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20652016
研究種目

萌芽研究

研究機関栃木県立美術館

研究代表者

山本 和弘  栃木県立美術館, 学芸課, 特別研究員 (30360473)

キーワード芸術諸学 / 厚生芸術 / 芸術福祉 / 環境倫理 / 少子高齢化 / 教育
研究概要

少子高齢化社会において芸術が高齢者や障害者、病人を治癒するのみならず、社会そのものをも治癒する「効果」をもっていることを1)環境倫理学2)アウトサイダー・アート3)ヨーゼフ・ボイスの社会彫刻の横断的かつ学際的研究によって明らかにし、《厚生芸術》という概念が21世紀の芸術と社会において極めて有効な概念であることを理論と実践現場の双方から理論化、概念化する。
1)環境倫理学よりも現実の金融危機による「グリーン・リカバリー」など環境政策や経済政策が「短期的」な成果を目指す傾向が見られるが、環境そのものを対象とした環境主義芸術(足利市でのKlaus Dauvenの作品)が本来の環境を「長期的」に思考し、社会に浸透させる役割を着実に果たしている。
2)高齢者や障害者の作品を鑑賞する「古典的施設=美術館」では社会の需要に対応しきれていない。少子高齢化の現場となる医療機関や高齢者施設での社会化された実践(秋田の外旭川病院etc.)事例を体系化することが本研究の課題としてより鮮明に浮上してきた。
3)社会を治癒するヨーゼフ・ボイスの芸術は没後20年間を迎え、やはり「古典的な見方」から「実践的で社会化された治癒の実践としての見方」が主流となった。ここにおいて「芸術と倫理の総合を目指したボイス」と「<貧困>の視点から経済と倫理の総合を目指したノーベル賞経済学者アマルティア・セン」と重なる重要性が明らかに浮上してきた。
《厚生芸術》は将来的に臨床精神医学や環境システム工学、ヘルスケア産業さらには地球温暖化対策、経済政策、厚生行政などの先行事例と協同して、芸術に本来内包されていたさまざまな力を回復し、「21世紀の社会に益する芸術」を究明するその萌芽を確実につみ取ることを目指している。

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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