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2008 年度 実績報告書

アラスカ・ネイティヴの実践例に学ぶ新たな英米文学教育の可能性

研究課題

研究課題/領域番号 20652020
研究種目

萌芽研究

研究機関京都工芸繊維大学

研究代表者

林 千恵子  京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (10305691)

キーワード英米文学 / 教育学 / 文学一般 / アラスカ・ネイティヴ / 文学教育
研究概要

本研究は、アラスカ先住民文学興隆を後押ししている大学での実践的教育と、先住民社会独自の物語継承の取り組みを現地で調査し、新たな文学教育の可能性を探るものである。平成20年度は、特に幼少期の児童に先住民の物語や文化がどのように教えられているのかを調べることを目的とした。事前の研究者への問い合わせでは、各先住民社会が独自で取り組んでいるものの、20以上もあるグループの取り組みの全容は把握されていないということであった。
現地調査は3月に行った。対象の施設は主にAlaska Native Heritage Center(アンカレッジ)、The Anchorage Museum(アンカレッジ)、Haines Elementary School(ヘインズ)である。調査の中で分かった点を2点だけ挙げると、まずアラスカ先住民社会が外部との連携を模索している点である。たとえばHeritage Centerは、従来、部族の伝統文化や特有の生活様式を発信することを重視していた。が、今回見た限りでは本土の先住民をはじめ他のマイノリティ・グループとの連携を示すなど、多民族共生を訴える主体として活動を始めていることが感じられた。
第二は、公教育の下支えへの地域住民の努力である。先住民社会を含め、アラスカ地域社会では離婚、貧困、暴力、虐待など問題を抱える家庭は多い。今回調査をしたヘインズでは、問題を抱えた子供と親の両方を支援する機関が機能していた。子供の集中力不足や不安定な感情は家庭の問題が関係していると考え、担当者が問題を抱えた親を電話や面談でケアする一方で、児童には授業時にも補佐員がつくなど手厚い支援が見られた。子供が心穏やかに授業を受け、静かに大人の声に耳を傾ける環境作りに力が注がれており、それが物語を語り/聞く重要な素地であることに気付かされた。
今年度はチルカット族の語り部への聞き取りを中心に、先住民の物語伝承の現状をさらに追ってみる予定である。

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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