研究課題/領域番号 |
20652021
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
片渕 悦久 大阪大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (30278147)
|
研究分担者 |
鴨川 啓信 山口大学, 経済学部, 准教授 (60314788)
小畑 拓也 尾道大学, 芸術文化学部, 講師 (60364121)
武田 雅史 大阪大学, 大学教育実践センター, 非常勤講師 (40467519)
|
キーワード | アダプテーション / 物語更新 / 物語論 / メディア |
研究概要 |
本研究は、「アダプテーション理論」をふまえ、広範なメディア(言語、映像、パフォーマンス等)やジャンル(文学、映画、アニメ等)を横断し作り直される物語を分析対象として、主流文化からサブカルチャーまでを射程に収めるインターフェイス的物語論の開発・提示を目標としている。 本年度は、アダプテーション理論、およびその実践的応用に関する文献収集につとめ、当該研究分野の動向を探り、新たなメディア横断的物語論の理論化と応用可能性について考察を深めた。具体的成果として、代表者・分担者4人による、リンダ・ハッチオン著『アダプテーションの理論』の日本語版の共同訳を進めた。とくに研究会等を通じて各自の訳稿に関して活発な意見交換をおこなった。 以下、本年度の研究成果・状況について記す。片渕は、愛知淑徳大学英文科講演会において、アダプテーション研究と物語更新の関連性に焦点を当てた講演をおこなった。さらにこの講演原稿をもとにして、本研究の最終成果の重要な一部分となる「物語更新論序説」についての具体的構想を練った。鴨川は、グレアム・グリーンの小説と、それにもとづく二つの映画アダプテーションを取り上げ、三作品の間に見られるストーリーや描き方での相似点と相違点を具体的に検証し、もとの物語からの距離を定位することによって、語り直しの実践全般に見られる特質を明らかにした。また鴨川は大阪大学提出の博士学位論文において、小説とアダプテーションとの関係に注目し、ストーリーやモチーフが映画で継承されることで、原型的物語が形式やメディアを変えながら存続する状況を詳細に分析している。武田は、物語論を応用して小説の物語構造を分析することにより、物語内容と物語表現の諸要素の関連性を探り、作品の規範が鑑賞者へと伝達されるメカニズムを考察した。小畑も、映画メディア論的観点から、物語表象に関するテクスト分析を進めている。
|