研究概要 |
連携研究者:川上三郎(鳴門市ドイツ館主任研究員。昨年度は研究分担者だが徳島大学退職により連携研究者となる) 1. 研究成果の発表に関して、川上は前ドイツ館館長田村一郎著「板東俘虜収容所の全貌」(朔北社、2010年)で、「『板東』前史としての『徳島俘虜収容所』」の部分を執筆し、徳島収容所の収容状況、捕虜の労役と外出、展覧会、音楽活動について新事実を発表した。また、研究誌「青島戦ドイツ兵俘虜収容所研究」第7号(井戸が責任編集)では、故冨田弘氏の遺稿より、松由収容所の捕虜新聞「ラーガーフォイアー」の翻訳を一部紹介、校訂と解説を行った。2009年の国際シンポジウム「日独文化交流史上の在日ドイツ兵捕虜とその収容所」で川上・井戸が口頭発表した内容は、2010年度に日本独文学会研究叢書で論文公刊の予定だったが、その出版が延期された。井戸は他方面でのシンポジウムと論文執筆が緊急に必要になったため、当研究の成果発表は2010年度はできなかったが、現在準備中である。 2. 翻訳に関して、川上・井戸はいずれも鳴門市史料研究会(会長川上)に所属し、他の会員三名とともに徳島収容所の捕虜新聞「トクシマ・アンツァイガー」を、1,2年後の完成と出版をめざして翻訳している。 3. 資料の整備に関して、鳴門市ドイツ館の既存資料の整理・登録が不十分なので、一貫した書式を作成し、Webでの公開をめざして登録の作業を継続した。また、前年度に引き続いて、マイクロフィルムの重要資料のデジタル化を業者に依頼し、今回は陸軍関係の文書を中心にこれをおこなった。 4. 出張に関して、井戸は大阪、名古屋、静岡、東京、丸亀などかつての収容所所在地を訪れ、収容所跡地や捕虜の墓地を確認し、現地の研究者と情報を交換した。川上は、コブレンツ、シュトゥットガルト、ライプツィヒの文書館で捕虜関係の文書・写真などを調査し、その一部を複写した。また、ドイツ国内の研究者と情報交換をおこなった。
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