研究概要 |
人工内耳装用児を対象とし、児童英語教育を1)グループと個別授業の形式で実践し2)独自の音声・映像教材をデータベース化することにより、学習者の英語でのコミュニケーション能力を育成し3)オーストラリアの人工内耳装用児と日英語による国際交流へと発展させるのが、本研究の目的である。 平成21年度も3名の人工内耳装用児(Hさん、Mさん、N君)の英語学習がグループ学習と個別授業の形式で継続して実践され、英語でのコミュニケーション能力を育成するための訓練が実施された。グループレッスンは3回、夏期集中クラスは3日連続して行われた。一方、個別授業の総授業時間は、Hさんが20回(45分×20)、MさんとN君は30回(30分×30)で、スカイプを利用して遠隔で行われた。レッスン中の会話はデジタルテープレコーダー(R-09,Roland)で録音され、音声分析ソフト(Pratt, version5.1.07)により音韻的変化の測定が行われた。スカイプによる授業の映像とチャット内容は、スクリーン・キャプチャー・ツール(Snapz ProX,2.1.4)で録画され、後に圧縮されて、音声・映像のデータベースとして蓄積された。学習者側には振動装置(ダヨン)が装備され、指先で教授者の音声の振動を体感できるように設置された。 教材は色、数、動作動詞や前置詞の基本概念を復習しつつ、市販の表現カード(CD付き英語カード:楽しい会話編、くもん出版)を採用してスカイプレッスンが展開しやすいように配慮された。日英語で日本在住の人工内耳装用児達と交流希望のシドニー在住、人工内耳装用児のオーストラリア人、Cさん(14歳)とのコンタクトとが平成21年度11月から開始された。スカイプ交流が3回、イーメイル交換が6回行われた。平成22年度8月のCさん宅でのホームステイに向けて、HさんとMさんの英語学習への動機と国際交流への意欲は徐々に高まっている。
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