研究課題/領域番号 |
20652047
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研究種目 |
萌芽研究
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小関 隆 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (10240748)
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研究分担者 |
山室 信一 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (10114703)
藤原 辰史 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (00362400)
岡田 暁生 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (70243136)
王寺 賢太 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (90402809)
久保 昭博 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (60432324)
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キーワード | 第一次世界大戦 / 現代世界 / グローバル連関 / 総力戦 / 文化連関 |
研究概要 |
「非ヨーロッパ圏」と「現代社会の成立」を視野に収めて、第一次世界大戦の総合的研究を行うという目的に即して、平成20年度は、研究代表者・分担者を中心に組織されている、京都大学人文科学研究所の共同研究班「第一次世界大戦の総合的研究に向けて」で、計13回の研究会を開催し、必要に応じて外部からも研究者を招いて報告をいただいた。その際、扱われた地域は、日本、朝鮮、アメリカ合州国、ハンガリーをはじめ、オーストラリア・南アフリカ・インドなどのイギリス植民地まで、対象分野は、徴兵制・集産主義・捕虜収容所などの戦時体制論から、生前から戦後にかけての軍事思想、民族主義、経済網、文化・学問的諸潮流(音楽・絵画・文化財保護・精神医学)の転換までと広範にわたる。また研究会報告では、本年度の研究実施計画に即して、(1)第一次大戦と第二次大戦を「ひとつの戦争」ととらえる視点の確立、(2)「世界大戦」という概念の誕生とその表象内容の変化、(3)第一次世界大戦が同時代の人間の知覚体験に与えた衝撃の三点に焦点を当てた。以上の研究会での報告の概要は、備考欄に記した研究班のホームページで公開されている。 今年度の研究成果としては、第一次世界大戦をひとつの終点として十九世紀イギリス社会史の分析を行った小関の単著『近代都市とアソシエーション』、および第一次世界大戦期のアイルランドをあつかった小関論文「チルダース、リンチ、第一次世界大戦」がある。また、山室は第一次世界大戦から第二次世界大戦にかけての連続性を念頭に、国民帝国・日本の拡大が学問編成に与えた影響を明らかにする、論文「国民帝国・日本の展開と学知」を発表した。藤原の論文「待機する共同体」は、ナチス政権下で組織された収穫感謝祭を、第一次世界大戦下ドイツでの食糧難の経験と総動員体制の成立に端を発する、農民の組織化と農民側からの反応という観点から分析するものである。
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