「研究目的」(2)、実施計画2の観点から、継続して近世フランスの外務卿府における外交書簡文書にかんする包括的な文献史料の調査と渉猟を行った。2010年3月に、現地にて約1週間、フランス国立図書館所蔵の史料調査と研究文献調査を敢行した。その史料の時系列、地域別、内容別の分類・整理を継続して行った。また研究文献についても、研究史に基づくおおまかな系統別の分類整理を実行し、リストを作成した。個別の分析としては、近世フランスの外交問題に関して、18世紀後期、とくにルイ16世の治世期を中心に考察をすすめた。とりわけ1778年時点におけるフランス外交の問題を、P.Jansen et als.の1982年の研究書を手がかりにしながら、アメリカの独立戦争に加担してゆく当時のフランス外交の問題点を考察した。併せて、同時代におけるイギリスの対米・対仏外交についても、フランス語新聞に掲載された記事の比較検討をとおして分析した。また、研究目的(1)、実施計画3の観点から、ヴェルジェンヌ外務卿時代に継続して焦点を当て、ヴェルジェンヌに関する伝記や評伝などの個人研究書を渉猟することで、ヴェルジェンヌ自身の生涯を追跡調査した。今年は、J.HardmanやM.Priceなどの研究文献を参考にしながら、ヴェルジェンヌとルイ16世の往復書簡をもとに、個々の問題に関するフランス外交路線の検討を継続して行った。また18世紀後期のショワズール外務卿の外交政策についても 関連文献の渉猟を行い、具体的な研究課題に基づく個別研究の検討に入った。
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