●文化・社会動態研究の実践 本年度は、狩猟採集社会から農耕社会へと移り変わっていく労働体系の中で、文化生態の特性がどのように時系列で変遷するのかを、GISアーカイブを中心に実施し、その分析研究を実施した。新たに、キャッチ面とアナリシスの累積指数という概念を開発し、日本の弥生時代集落の挙動について初期国家が形成されるまでの文化生態について議論した。また、その成果を論文としてまとめた。 ●形のコード化に関する分析研究 本年度は、日本情報考古学会ならびに人文系データベース協議会と協力し、12月に、「形を測る」と題した共同・公開セミナーを実施した。その中で、有形文化遺産、特に石器の3次元形状の分析手法(形態パラメータ)に関してディスカッションを行い、計測データと評価に関する指標を析出した。 ●文化遺産の実際の調査 本年度は、タジキスタン・中国・オマーン・トルコなどにおいて、文化遺産の調査を実施した。また、各国での文化遺産(遺跡)情報のGIS化を進め、中国では、遺構の3次元計測とアーカイブシステム化を実施した。また、特に、オマーンについては日本外務省とオマーン国遺産文化省との共同声明のフォローアップチームとして委託を受け、オマーン国のれきし現象の再構築のためのシステムの開発と現地での教育を実施した。
|