研究概要 |
本研究の目的は、学習機械サポートベクターマシン(SVM)と研究代表者の提案するノンパラメトリック局所相関分析法による、金融バブル生成・崩壊の予測及びメカニズム解明である。バブル期のデータは少ない一方で関連要因は非常に多く、高精度な金融バブルの予測・分析は原理的に極めて難しい問題である。 「ノイズが大きい途上国データや月次マクロデータを使った判別問題は、学習対象の複雑さに比して情報が少なすぎる」という昨年度の研究結果を踏まえ、本研究では先進国の日次以上の高頻度データを用いることとし、判別しやすいようにデータの前処理を施した上でSVWに学習させる方針を採ることにした。その結果、本年度については以下のような研究成果を得た。 まず、学習対象データの前処理として、主要国の日次株価指数について金融市場を4つの異なる相に分類することに成功した(Takada, DMSS2009)。これにより、株価データのみを基にバブル生成期や崩壊直前の不安定期の開始時をグラフ上で捉えることが可能になった。次に、株価-取引量の相関構造分析に用いる相互情報量の推定方法の精度を向上させることにより、「バブル生成への重要因子特定」のための準備を整えた。現在は、株価指数と取引量の日次データを用いたバブル期/非バブル期判別を行い、その特徴空間を分析することを試みている。また、取引量データがどのように株価の動きに関わってきているのかを、局所相互情報量分析が示す相関構造と照らし併せた分析も試みている。
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