研究概要 |
本研究では、既存のビジネスゲームモデルからモデルのもととなるビジネス対象に対するシステム認識を部分的に抽出するための効果的な手法の探究を目的とし、平成20年度では、YBGゲームのメタモデルの獲得および、モデル分析のための数理モデルの構築を目標とした。結果として、(1)YBGによる意思決定システム型ゲームモデル,(2)YBGによるサプライチェーン型モデル,および、(3)YBGによる交渉型モデルついて考察を行い、それぞれの数理的モデルを特定した。意思決定システム型モデルでは、数理システム論の枠組みに基づき、目標追求システムモデルと、市場分配メカニズムとの組による表現を与えることができた。また、サプライチェーン型ではビールゲームを主要対象とし、その数理モデルを獲得するとともに、YBG2008/9上でそれを実装した。交渉型モデルは、既存のYBGの枠組みではゲームの実装が難しいことが明らかとなったが、ビジネスゲーム開発システムに若干の仕様変更を与えることで、それが実装可能であること確認された。このことは、二酸化炭素排出権取引に代表されるダブルオークション型ゲームの実装により明らかとなった。YBGでは、対象ドメインを構成する要素間の関係性、すなわち構造を仮定したモデル指向のビジネスゲームが多く実装されているが、一方で、大量のデータ分析を行うことを通じて知識を獲得するデータ指向のビジネスゲームも実装可能である。本研究では上述した3つのモデルのほかに、データ指向型ゲームも考察対象として、データマイニング型ゲームモデルについても分析を行い、主要な相関ルールマイニング手法のメタモデルを得る試みも行った。
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