ビジネスゲーム開発運用システム(YBG)上で開発されてきたモデル、あるいは開発されうるモデルに対する抽象モデルとその特徴づけ(単純意思決定システム型(I型)、サプライチェーン型(II型)、交渉型(III型))に基づき、これらの抽象モデルに対する特定(具体)シミュレーションモデルの分析と実行のための処理系の設計を行ない、離散事象システムとしてのビジネスゲームのモデル全般が取り扱えるオブジェクト指向プログラミングパラダイムに沿ったプロトタイプを実装した。特にI型に対しては、YBGで提供される標準的ゲーム(ベーカリーゲーム)を対象とし、実際にシミュレーションモデルを構築し、モデルの挙動について事前分析し、この結果を平成21年度の授業で取り扱ったビジネスゲームの設計に適用した。II型に対しては、抽象モデルに基づいて、拡張されたビールゲームのプロトタイプを実装し、III型に対しては、実装されたモデルを二酸化炭素排出権取引に代表されるダブルオークション問題に適用し、その有効性について実験的な考察を行った。 一方、ビジネスゲームモデルを設計し分析するための理論的考察として、モデルを構成する要素間の二項関係に着目した数理的枠組みを提示し、ビジネスゲームモデルのみならず、一般の情報システム設計とその分析に対して、モデル統合時におけるモデル整合性検証に対して理論的保証を与えるための理論的道具を提供した。さらに、モデル分析に必要なデータマイニングのための理論的考察に基づいて、YBGシステムに統合可能なマイニングシステムに関して検討を行った。
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