研究概要 |
本研究は、少子化や子育て不安が進行する中で地方自治体がとるべき効果的な子育て支援施策のあり方を全国調査によるデータに基づいて明らかにすることを目的としている。また本研究は、調査結果の分析・考察内容を各自治体にフィードバックすることで「後期計画」の実施・推進にあたり、より効果的な子育て支援施策の策定・推進に貢献することに寄与することができる。 初年度の2008年度は先行研究を概観した上で調査設計を行い、2009年度にはその時点での全国1,795箇所の全区市町村を対象に「次世代育成支援に関する全国自治体調査」を実施し、半数に迫る808区市町村から回答を得た(回答率約45%)。 最終年度である2010年度においては、調査結果の集計および分析・考察を行い、全国自治体における子育て支援施策のあり方に関わる次のような課題を明らかにすることができた。第1に、次世代育成支援推進行政の体制については、8割以上が保育・福祉・保健部局がこれを担当していることである。教育委員会を含めた横断的連携体制の構築が強く求められる。第2に、2005年度から5年間の前期行動計画の達成状況については、数値目標を定めた特定14事業でも未達成の事業があった。その状況は区市町村による特徴的な傾向も見ることができ、本調査結果のよりいっそうの分析が必要である。第3に、多くの自治体が財政問題とともに国の施策の不十分さを指摘している。国の主導により、財政的裏付けを伴う一貫した子育て支援施策の推進の必要性が明らかになった。
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