本研究は、琉球大学教育学部学生の教員養成における実践力、授業力の育成・向上のための、教員資質認定試験(「基礎力認定試験」「実践力認定試験」「総合力認定試験」)を計画・実施し、その効果を総合的に検討することを目的としている。 平成20年度は、前年度の試行を基にして、小学校、及び中学校の教員を希望する学生に対して、学部の全教員の協力のもと作成された一般教養・教職教養、及び各教科についての試験を実施し(5月)、試験結果について、それぞれの領域や個々の項目の正解率等の分析を行い、全体的にどのような傾向があるかについて、関係する領域の各教員にフィードバックした。また、試験結果を学生一人ひとりにフィードバックし、指導を行うとともに、学部では試験解説セミナーを開催し(6月-7月)、学生の理解を深めた。さらに、3月には次年度(平成21年度)に向けた「実践力認定試験(当日与えられた内容について指導案を作成する試験)」のための試行を実施し、試験についての評価も質問紙により学生に求め、効果や改善点を把握した。 「基礎力認定試験」については、教育学部全3年次、4年次を対象に質問紙調査を実施し、認定試験や解説セミナーについての評価を求めた結果、認定試験は教職への意欲を高めることなどが示唆された。これらの結果は、沖縄心理学会で発表され(3月)、現在、琉球大学教育学部紀要にまとめるべく執筆中である。質問紙調査で示された学生の要望等は、平成21年度の実施に反映させる。また、「実践力認定試験」については、平成20年度の試行を踏まえて平成21年度に本格実施する。平成21年度の質問紙調査については、教員側にも実施し、期待される「学生、教員の両方が教員資質認定試験を通して、相互に作用し合い、学生の実践力、授業力の育成・向上に向けてよい循環を作り上げて行くこと」の達成度についても検討する計画である。
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