研究概要 |
子どもが放課後や週末等に地域社会の中で、安全で、安心して健やかに育まれるようにという趣旨から平成18年「放課後子どもプラン」が創設され、各地で地域の特性をふまえた取り組みが始まった。本研究では、我孫子市の放課後こども教室と連携し、その場に集う子どもや大人の声を「きちんと尋ね・正しく受け止める」自己点検評価のあり方を検討し、その標準的な姿を具体化し提案することを目的とした。 初年度は多角的な調査手法を実施した。第一に「子どもから意見を聴く」手立てとして低学年児童でも回答可能な形式を模索した。パソコンを利用して,平仮名で書かれた質問文を画面上に提示しつつ、それを読み上げる音声を同期させ、回答は児童がタッチパネル上の選択肢に指で触ればよいという新しい手続きを導入した。また,「子どもの姿をとらえる」ために,図書室や体育館において行動観察を行った。さらに、放課後子ども教室に対する考えを児童・保護者への質問から解析した。地域の見守りボランティアに対しては「子どもの育ちを支える」活動の意義に関する個別インタヴューを実施した。 これまでに得られた成果は以下のようであった。タッチパソコン式アンケートは先行研究では難しいとされた低学年児童でも施行しうるものであった。放課後の過ごし方として、多くの児童は友だちと遊びたいとしていたが、実際は多くの児童が自宅でテレビを見たり、ゲームをしていた。また、習い事や塾が楽しみの一つになっていた。放課後子ども教室は、低学年の学童保育児童の利用が比較的多く、低学年児童ほど大人による手助けを求めていた。異学年児童間のコミュニケーションは必ずしも円滑ではなかった。また放課後子ども教室は多くの地域のボランティアに支えられ運営されていた。 これらの結果は現場にフィードバックされ、活かせるものかどうかを判断してもらいつつ、本当に必要な自己点検評価項目は何かをさらに分析していく。
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