研究課題
萌芽研究
本研究では、多様なリスク状況下における帰納的推論の心理学的メカニズムを説明する計算モデルを言語データの統計解析を用いて構成し、妥当性を心理学実験との比較で検証した。属性の帰納的推論メカニズムを明らかにするためには、与えられた前提事例を、「どのくらい」、「何に基づいて」一般化するかをモデルで明確に説明し、心理学実験で検証しなければならない。しかし「どのくらい」一般化するかという視点の先行研究はこれまでほとんど行われてこなかった。そこで、本研究では、帰納的推論において「どれぐらい」、与えられた正事例と負事例を一般化するかは、リスク状況に応じて決定されるという仮説に基づきモデルを構築し、妥当性を心理学実験で検証した。特に、Sloman(1993)を参考に、前述の「何に基づいて一般化するか」という視点では特徴パターンの類似性に基づくと説明するモデルを構成するが、この特徴パターンを心理学的評定法で測定するのではなく、言語データの統計解析結果を用いて計算した。このとき言語データの統計解析法としては、Pereila(1993)やKameya&Sato(2005)で提案されている潜在意味クラス解析という手法を用いて、言語データから抽出される名詞-形容詞と、名詞-動詞の係り受け頻度から単語間の確率的関連強度を推定、計算した。さらに、結論のもっともらしさを出力する、帰納的推論のサポートベクトルマシン(カーネル関数)モデルを構成し、その心理学的妥当性を検証した。
すべて 2008
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LKR2008 : T. Tokunaga and A. Ortega (Eds. ), Springer・Verlag Berlin Heidelberg LNAI 4938
ページ: 295-309