研究課題/領域番号 |
20653054
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中島 祥好 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (90127267)
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研究分担者 |
上田 和夫 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (80254316)
飛松 省三 九州大学, 医学研究院, 教授 (40164008)
竹市 博臣 独立行政法人理化学研究所, 脳信号処理研究チーム, 客員 (60242020)
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キーワード | 時間知覚 / 異種感覚統合 / 錯覚現象 / PCA |
研究概要 |
時間・空間分解能に長けた脳磁図(MEG)を用い、聴覚における時間知覚の脳内処理の特徴と領域とを明らかにした。すなわち、隣接する時間間隔についての同化現象に注目し、MEGを用いた脳活動の記録が、同時に得た精神物理学的なデータや、以前に得た脳波のデータとどのように対応するのかを調べた。推定の結果、時間的同化が生じているときには、刺激呈示の直後200ms以内の時間範囲において、右下前頭皮質の活動が抑制されることが示され、以前に事象関連電位において得られた結論を異なった実験手法によって確認する結果となった。以前に事象関連電位に関して得られたデータについても、新たな数理的分析を行った。すなわち、個人ごとに各電極についての加算平均波形を求め、これに対して主成分分析を行った。さらに、波形のみを見て知覚判断の内容等を推測することがどの程度可能であるかを検討した。このような分析からも、刺激呈示の直後の脳活動に時間知覚判断に関連する成分が確かに含まれていることが判った。隣接する時間間隔のうち後のほうが充分に長い場合には、同化ではなく対比が生じ、後のほうの時間間隔が過大評価される。これまでに得られた精神物理学的なデータのうち、このことに関連する部分を再分析した。区切音の長さが40ms以上になると、音の始まりから次の音の始まりまでの時間長が全般的に長く知覚されるようになり、それとともに上述のような過大評価がより明瞭に生ずることが確認された。さらに、この過大評価が広範囲の時間間隔条件に波及することによって、同化による過小評価が見かけのうえで減ずることが判った。
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