(1) 日米の大学における「振り返り」の方法に関する比較 基本的な4つの方法、(1)ジャーナル、(2)グループディスカッション、(3)プレゼンテーション、(4)ファシリテーションを多様に組み合わせ実施しているのは、日米共通であった。異なる点は、日本の場合は、授業期間中における中間と最終の2回の「振り返り」を軸にしているのに対して、アメリカの場合は、毎回の活動時の「振り返り」を重視していること、またその際、アメリカの場合はジャーナル又はそれとファシリテーションの組み合わせによる「振り返り」が中心であるのに対して、日本のそれはジャーナル又はそれとディスカッションの組み合わせが主であること。 (2) 日米の大学における「振り返り」の方法と教育効果の関係に関する比較 「振り返り」の教育効果アセスメント(アンケートフォーマット)を開発し、高知大学と立命館大学で実施した。なお、アメリカの大学に関してはヒアリングにて実施した。日本では、全体としてグループディスカッションの教育効果が高く、アメリカはジャーナル及びファシリテーションの教育効果が高かった。その背景としては、日本ではサービスラーニングの目的としてコミュニケーション能力や社会性の育成に重点が置かれているため、グループディスカッション重視であるのに対して、アメリカでは、地域課題の分析と発見、論理的思考能力の育成に重点が置かれているため、ジャーナルとそれに基づいた教員のファシリテーションが重視されているからであることが推察される。 (3) 日米の大学における地域パートナーの特徴及び比較 日米の地域パートナーの相違は、学生の受け入れ体制の成熟度にある。日本では、パートナーの数も経験も少なく、大学とパートナーとが協議しその都度にプログラムを作る場合が多いが、米国では、パートナーの受け入れ経験の豊富さに加え、多種多様かつ数多くのパートナーが社会的に組織化されているため、大学側が教育目的を明確にさえすれば、プログラムが容易に展開できる体制となっている。
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