研究課題/領域番号 |
20653060
|
研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
宮本 健市郎 関西学院大学, 教育学部, 教授 (50229887)
|
研究分担者 |
佐藤 隆之 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 准教授 (60288032)
|
キーワード | ペーパー・テスト / アメリカ合衆国 / アメリカ教育史 / 教育評価史 / 教育方法史 / ホレースマン・スクール / プロジェクト・メソッド |
研究概要 |
宮本は、19世紀末後半から20世紀前半にかけて、筆記試験が普及した経緯とそれが小学校の授業と教師に与えた影響を中心に分析した。佐藤は、20世紀初頭のティーチャーズ・カレッジの付属小学校で、筆記試験に代わる評価方法としてどのようなものがあったかを探索した。2009年10月に相互に研究成果を報告しあって、進捗状況を確認した。 宮本は、(1)19世紀末に紙と鉛筆が普及し、学校で利用されるようになったこと、(2)それによって、客観的で公平、かつ能率的な試験として、筆記試験が19世紀後半に普及したこと、(3)グレイド制が普及して、進級試験も筆記試験になると、授業者は試験の採点や合否基準に関与できなくなり、試験と授業との距離が生じて、その結果、授業改善を目的としない試験が普及したこと、(4)20世紀初頭に教育測定が普及し、授業の目的と試験との関係が無視されるようになったこと、などを示した。 佐藤は、ティーチャーズ・カレッジ付属ホレースマン・スクールで行われた教育測定法の実験研究を詳細に分析した。同校でもペーパー・テストによって教育成果を測定する動きが強まっていたけれども、プロジェクト・メソッドを提起していたキルパトリックらはペーパー・テストではなく、観察を重視した子ども理解と指導(質問)のための方法を模索していた。それは市民性チャートとして具体化され、性格形成に関する測定の手段であると同時に、望ましい習慣・態度やそれに関する教科の知識を統合的かつ主体的に学習できるように導く手段として構想されていた。しかし、動機、興味、態度、欲求などの内的側面を評価して指導するには不十分であり、のちに、ペーパー・テストに取って代わられた。その経緯はさらに解明すべき課題である。
|