3年間にわたる研究をまとめて、報告書を作成した。筆記試験はアメリカでは19世紀半ばに出現した。口頭試問にくらべて、筆記試験は、公正性、正確さ、客観性において優れているという理由であった。1870年代に鉛筆や紙の大量生産が始まったこと、学年制をもった学校が出現し、大量の生徒を対象として進級試験が実施されるようになったこと、などにより、筆記試験は19世紀末には主要な試験の方法になっていた。教師の間では、筆記試験が授業と試験の乖離をもたらすとして、その導入に慎重な意見も強かったが、20世紀初頭には、教育の能率と平等を追求する手段として、筆記試験がさらに普及していった。1910年代から1920年代にかけて流行した教育測定運動のなかでは新型といわれる筆記試験が登場した。それは、能率と客観性を徹底して追求するために、多肢選択式のペーパー・テストであり、教師の判断を極力排除しようとするものであった。 20世紀初頭の進歩主義の学校では、知識の有無を調べるテストではなく、知識を行動にどのように結び付けようとしているかを問う形のペーパー・テストが開発された。その一つの例は、コロンビア大学ティーチャーズ・カレッジのホーレスマン・スクールで、チャセルが開発した道徳性を測定するためのテストであった。この方法は、道徳性の測定に関心をもっていたソーンダイクの意向を受けて実施されたものであった。ホーレスマン・スクールではプロジェクト・メソッドが実施されていたにも関わらず、実は、道徳性の習得に点数をつけるためのペーパー・テストとも深いつながりを持っていたのである。
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