研究課題/領域番号 |
20653061
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研究機関 | ノートルダム清心女子大学 |
研究代表者 |
吉永 早苗 ノートルダム清心女子大学, 人間生活学部, 教授 (80200765)
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研究分担者 |
石原 金由 ノートルダム清心女子大学, 人間生活学部, 教授 (80159756)
稲森 義雄 ノートルダム清心女子大学, 人間生活学部, 教授 (70104239)
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キーワード | 保育者 / 子ども / 音声相互作用 / コミュニケーション / 音声印象評価 / 間投詞的応答表現 / 音環境 / 声に対する意識 |
研究概要 |
保育者と子どもあるいは子ども同士のコミュニケーション場面の観察および音声データの分析から、年少の子どもに対しては、保育者が子どもの発する音声を繰り返すことによってコミュニケーションが成立すること、一斉保育にいては、保育者の声のリズムが子どもとのやりとりに軽快さをもたらすこと等がわかった。さらに、一斉保育において、保育者が間投詞的応答表現の「ハイ」を頻繁に使用していることが見て取れた。それらは、返事やあいづちといった用途以外に、さまざまな意図あるいは感情を含んでいると聞き取れる音声で表現されており、意識的に用いられていることもあれば、意識されずにその時の感情がそのイントネーションにそのまま反映されている場合もあった。 そこで、意図や感情を込めた10種類の「ハイ」の音声を作成し、保育者らによるそれらの印象評価についての分析を行ったところ、(1)間投詞的応答表現「ハイ」は、その発声に微細な調整を施すことで、感情の表出だけではなく、多様な機能の表現が可能になること、(2)保育者は、音声表情の異なる「ハイ」を聴いて、それぞれの声のニュアンスから、感情や意図の微細な違いを判別することができることがわかった。また、保育者の声に対する意識調査により、保育者は、子どもとの距離によって声の大きさを変えるだけではなく、話の内容によって話す速さや声色をくふうする回答が多く得られた。 音声には偽ることなく感情が表出されるので、ときには、話者の意識の及ばないレベルで、聞き手にありのままの感情を伝えている可能性がある。したがって保育者は、子どもとの音声相互作用について、言葉としては特定の指示内容を持たないような表現でさえも、発声の仕方によって多様な感情や意図が込められ、それは聞き手である子どもに伝達されている事実を認識し、配慮されたい。
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