本研究の目的は、人的資源開発の視点から教育の質や効率性を深く分析することにより、グローバル・イシューである人的移動に伴う社会問題を明らかにすることである。経済格差や貧困削減など中央アジアで最も大きな問題に挙げられる点について教育や職業訓練を分析することは貧困と人材育成というグローバル・イシューの分析の深化という意義がある。 今年度はカザフスタンにおける人的移動に関する文献調査を行うと共に、アンケート調査を行った。また、カザフスタンの労働省や国連機関が持っている人的移動や労働市場の現状やソ連から独立後の人的資源開発計画をレビューした。これまでどのような政府の開発計画のもとで、どのように移行経済と人的資源開発が平行して、または優先順位をつけられ開発が行われてきたのかを政府、研究機関および援助機関の二次資料により明らかにした。また、今後の経済発展の優先課題と、国家の理想とする経済型について現状から把握できる方向性を指摘できるように、産業構造や教育機関と労働市場の関連性についてもマクロ経済的な視点から分析を行い、国家の優先課題と開発計画の誤差を分析した。 現地調査の実施にあったて、デザインやサンプリング手法を確定すし、対象地域、サンプル数の算出、労働市場訪問先等を決定するに当たり、現地のカウンターパート機関を決定した。また、個票を用いた調査を実施するに当たり、調査員を雇用し、訓練を実施するための計画を立て、インタビュー先の省庁、研究機関、援助機関等の対象機関、対応者についても検討した。アメリカ合衆国に本部をもつ国際機関(世界銀行)にてカザフスタン、キルギスタン、ウズベキスタンの人的資源開発と経済発展、人的移動に関する資料も収集した。
|