1.本年度の業績 本研究は、研究代表者(林恵津子)、研究分担者(田多英興・田中裕)に加え、2名の研究協力者(東埼玉病院医師:加藤るみ子、T-time心理ラボ:大石武信)により構成されている。本年度はデータ収集・分析に加え、この5名で複数の学会にて発表を行った。 2研究の目的 重症心身障がいのある人は、表出行動に著しい困難がある。そのため、言語・非言語コミュニケーション手段を用いて意図や感情を伝えることが難しい。より適切な支援のあり方を探るためには、覚醒状態や緊張、注意の様相について支援中の形成評価が不可欠である。評価のツールとして瞬目指標の有効性を検討することを目的としている。 3.本年度(平成21年4月1日~平成22年3月31日)の研究実施経過と成果 (1)瞬目の記録:昨年度(20年度)は、瞬目の記録場面として対人場面を設定し、表出行動がきわめて限られている人でも、瞬目を指標とすれば人に関する刺激の受けとめが評価できる手かがりを得た。そこで、今年度は、より高次の知的機能である注意の定位とその維持を評価するための記録場面(ベッドサイドでの絵本の読み聞かせ)を設定した。聴覚刺激に対する定位や注意の維持を軸に瞬目を分析した。 (2)瞬目の分析と学会発表:本年度は、瞬きの変化に及ぼす要因に着目した。てんかんの有無、障害の発症の時期による影響(日本生理心理学会)、障害種別(日本心理学会)と瞬きの関連を検討した。日本特殊教育学会では自主シンポジウムを企画し、学校現場で瞬きを評価に応用する試みを紹介した。アジア睡眠学会では、睡眠や覚醒を専門とする研究者とは、覚醒水準の評価ッールとしての瞬き有効性について議論を展開した(The 6^<th> Congress of Asian sleep Research Society)。
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