池田保(研究代表者)は大阪市立大の市野篤史(連携研究者)との共同研究で、特殊直交群上の保型形式のグロス=プラサド型の周期に関する明示的周期公式を予想として定式化した。この成果をまとまた論文は学術誌Geometric and Functional Analysisに掲載が決定した。この予想に関連した口頭発表を今年度において数回行った。2009年度には関連した国際シンポジウムが開かれる予定である。 市野篤史は上記の予想を3次と4次の直交群の組に対して証明し、論文を発表した。また4次と5次の直交群の組に対しても5次の直交群の保型形式が吉田リフトになっている場合に上記予想に関する共同研究をW.T.Gan氏と進めている。市野篤史はこの研究に関する口頭発表を数回行っている。 また、平賀郁(研究分担者)、市野篤史、池田保の3名による研究チームは形式次数に関する共同研究を進めている。 これらの研究は互いに関連しており、周辺分野への影響は大きいものと考えられる。 また、池田保はエルミート型の保型形式のリフティングの存在を示した論文を発表したが、このリフティングの周期に関する予想も定式化している。ジーゲル保型形式に関して池田が定式化した同様の予想は最近になって室蘭工業大学の桂田英典氏と北海道大学の河村尚明氏によって証明されたが、エルミート保型形式に関しても今後同様の結果が期待される。
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