平成22年8月に京都大学数理解析研究所で開かれた国際研究集会(PANT2010)において、筆者と市野篤史氏(連携研究者)の共同研究によるグロス=プラサド型の保型形式の周期に関する予想に関して口頭発表(招待講演)を行なった。 また、11月には被覆群に関する国際研究集会を組織し、ここでも被覆群の跡公式に関する講演を行なった。この跡公式にはコーネン・プラス空間の構成に関する応用がある。これに関しては平賀郁(研究分担者)との共著の論文を準備中である。 コーネン・プラス空間とは半整数の重さを持つ一変数の保型形式で、4を法として平方数の部分にのみ0でないフーリエ係数をもうようなもののなす空間である。この共同研究では総実代数体上のヒルベルト保型形式に対してもコーネン・プラス空間の理論が拡張できることを示した。 コーネン・プラス空間に属する保型形式のフーリエ係数はL関数の中心特殊値と深い関係にあり、将来の研究の発展が期待できるものであるといってよいと思われる。この成果については1月に数理解析研究所で開かれた保型形式の研究集会、奈良女子大で開かれた研究集会などでも発表した。 また、市野篤史(連携研究者)はウィー・テック・ガンとの共同研究でグロス=プラサド型予想とデータ対応との関係を研究している。
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