研究概要 |
本課題は群作用を使って特殊計量を求める問題と考えられる.まず余等質次元が1の場合を大学院生に問題提起し,3次元可解リィ群の左不変計量の空間にリッチフローとそのある変形による2種類軌道分解から対応する4次元時空に超ケーラー構造が入ることが分かった.ひとつはデルペゾ曲面の有理曲線のサイクル状の反標準因子の補集合に入る超ケーラー構造の漸近解を与え,もうひとつは双曲型井上曲面の2つの有理曲線のサイクルの補集合に入る反自己双対ケーラー構造を与えるものであることが分かった.このうちの一部は恩田健介君の学位論文となった.次に本研究の課題で階数2のコンパクト対称空間G/Kの場合を考えた.5次元のときは等方表現としてSO(3)の5次元表現が現れ,4次元球面の余等質1作用を得る.7次元球面からのホップ束の水平分布を変形して4次元球面に落としたときに対称性がSO(3)に下がる計量族を構成してリッチフローの特異点を誘導することによって新しいアインシュタイン計量を得るプログラムを作った.まだ成功はしてないが高次元の正の4元数ケーラー構造の一意化問題へのリッチフローからのアプローチのプログラムを作ることが出来た.次にこの等方表現の特殊軌道と複素化された階数2の対称空間上のリッチ平坦ケーラー計量の構成との関連を考察した.その結果複素化対称空間のワンダフルコンパクト化の閉軌道の法束の特殊軌道に由来する群に関するウェイト分解から2次元非コンパクトトーラス上に力学系を構成できて,その等位面が凸曲面になることが分かる.この凸曲面を複素化対称空間にG同変的に拡張してできる擬凸領域の定義関数にチェン・ヤウの方法を適用して構成される負のケーラーアインシュタイン計量の族を考え,これらの擬凸領域の包含関係に関して然るべきスケール極限をとることによって所要のリッチ平坦計量が得られるだろう,というプログラムを作ることができた.
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