研究概要 |
(1) 銀河中心付近のX線反射星雲(XRN)を連続観測し、Sgr B2, Radio Arcに付随するXRNからの中性鉄輝線が数年の時間スケールで変動したことを発見した。この時間変動はXRNを照らす源は銀河中心(Sg A*)とするのが銀河中心付近の鉄輝線放射をもっとも自然に説明する。その考えにたてば、この鉄輝線の変動が過去に大爆発をおこし強いX線を放射、その強度は数年で約半減したことになる。Sgr A*が巨大ブラックホールであることの有力な証拠である(研究発表論文1,2)。 (2) 超新星残骸RCW86とIC443のほぼ全面を「すざく」で観測し、前者からは中性に近い鉄輝線が残骸全体から放出されていることを発見した。同様に硬X線放射も確認し、鉄輝線は最近加熱された超新星残骸からの放出プラズマ、硬X線は粒子加速によるものとする理論を発表した(研究発表論文3)。また後者に関しては、自由電子の再結合遷移構造を初めて発見し、極端に過電離状態のプラズマであることを明らかにし、この原因が濃い星周ガスから薄い星間ガス中に衝撃波が通過したときの断熱膨張冷却によるとする説を構築した(論文、執筆中)。
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