研究課題
ブラックホールの性質には質量、スピン、電荷の三つがある。このうち質量に関しては観測的に複数のブラックホール候補天体において計測されている。スピンについては幾つかの測定の試みがあり、誤差は大きいが、大きな値が大質量ブラックホールでは報告されている。我々はSgrA*において、ブラックホール周辺に形成される降着円盤の円盤振動(共振現象)による周期的強度変化を用いて、スピンの同定を行ってきた。その同定法を用いて、今年度、さらに幾つかのブラックホール候補天体で観測されているQPO(準周期的振動)に対しても同種の円盤振動起源であると仮定して、スピンの測定をおこない、共通してスピンが小さいことを見つけた。ブラックホールのスピンはそこへの降着によって、多くの場合最大値になると考えられてきた。我々の測定結果が正しいとするならば、実際にはスピンが小さいことは、何らかのメカニズムによって、角運動量がブラックホールから抜き取られていることになる。ブランドフォード=ナエック機構の実在を示唆すると考えられる。上記の成果は、連携研究者である加藤氏PIで学術誌MNRASに掲載したほか、同氏の所属する宇宙航空研究開発機構(JAXA)によって2010年3月8日付けでJAXAのプレスリリースとして報道された。(http://www.jaxa.jp/press/2010/03/20100308_blackhole_j.html)
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http://www.jaxa.jp/press/2010/03/20100308_blackhole_j.html