研究概要 |
平成22年度は、OpenCFD社が開発したOpenFOAMの圧縮LESソルバーを用い以下の研究課題を行った。 1. 昨年度に引き続き二次元小型エアリード楽器モデルの計算を行い、実験や実験をもとに作られた半経験的な理論から予想される楽器の発振特性の再現に成功した。これにより、共鳴管体を持つ楽器の発振と管体を持たないエッジトーンの違いを明らかにした。 2. Lighthillの音源項の計算に成功し,定常発振状態における流体音の音源分布を求めることに成功した。その結果、流体音源が、振動するジェットやジェットがエッジに衝突して出来る渦の近くに存在することを突き止めた。これは、Powell-Howeの渦音理論の主張"流体音の主な音源は運動する渦である"に数値的な裏付けるを与えるものと考えられる。 3. Lighthillの音源と発生した音の相関を調べることで、音楽音響の理論で提唱されている2つの駆動法'流量的駆動'と'運動量的駆動'のどちらが優位であるか検討した。 その結果、ジェット振動そのものが寄与する流量的駆動の方が、エッジ後方にできる渦が寄与する運動量的駆動よりも優位である数値的な証拠を見いだした。 4. 3次元オカリナモデルの計算に成功した。これにより、LESを用いた3次元の計算が可能であることを示した。 5. ヘルムホルツ共鳴を用いて発振するオカリナと管体共鳴で発振する通常のエアリード楽器の発音機構の違いについて検討した。
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