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2008 年度 実績報告書

スピングラスのメモリーのスピン流によるベクトル的読み出し

研究課題

研究課題/領域番号 20654036
研究種目

萌芽研究

研究機関慶應義塾大学

研究代表者

佐藤 徹哉  慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (20162448)

キーワードスピングラス / メモリー効果 / ドロップレット描像 / スピン流 / スピンホール効果 / 異常ホール効果 / リエントラントスピングラス / メゾスコピックスケール
研究概要

スピングラス(SG)のメモリーを読み出すための基礎として、まずメモリーの起源を解明するために、SG相関長がダイナミクスへ及ぼす影響を明らかにすることを目的として、メゾスコピックスケールでのSGの挙動を調べた。特に、本研究で用いるハイゼンベルグ型に属する金属SGの挙動が、イジングSGに対して広く受け入れられているドロップレット描像で解釈可能か否かについて検討した。微細加工により100〜200nm程度の石英ガラス柱の上に3次元的にサイズが制限されたSGAgMnを堆積した試料を作成し、その磁気特性を調べた。その結果、零磁場冷却磁化のピーク温度がバルクと比較して低下することを観測し、さらにSG領域での磁化緩和の測定より、SG相関長が時間的に成長し、その成長が微細構造のサイズで制限されるとの描像を得て、その成長に関する障壁指数を得た。さらに、磁場中での磁気挙動より、磁場クロスオーバー長の存在を示唆する結果を得た。これらの結果は、ハイゼンベルグSGにおいてもドロップレット描像が成り立つことを確度高く示しており、メモリー効果もこの描像を基盤に理解することが妥当であるものと考えられる。
一方、スピンホール効果測定の準備として、メゾスコピックサイズのリエントラントスピングラス(温度の低下と共に、常磁性から強磁性を経てSGへ転移する系で、通常のSGよりも磁化が大きい)Ni(Pt)Mn試料を用いたホール素子を作成し、異常ホール効果の測定を行なった。さらに、上記のAgMn試料と同様の形状を持つNi(Pt)Mn試料の磁化測定を行ない、異常ホール効果との比較を行なった。その結果、1つのメゾスコピックサイズの領域からなるホール素子においてのみ、SG領域でSGドメインの反転に伴うと考えられる飛びが観測され、ドロップレット描像を支持する特徴を見出した。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2009 2008 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Measurement of Anomalous Hall Effect in Reentrant Spin Glass Ni(Pt) Mn Thin Film2008

    • 著者名/発表者名
      Katsuyoshi Komatsu
    • 雑誌名

      Journal of Physical Society of Japan 77

      ページ: 064702/1-5

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Spin Glass Dynamics : Effects of Field and Finite Size on Microfabricated Mesoscopic Samples2008

    • 著者名/発表者名
      K. Komatsu
    • 雑誌名

      Journal of Physical Society of Japan 77

      ページ: 124710/1-6

    • 査読あり
  • [学会発表] 異常ホール効果を用いた微小領域でのリエンドランドスピングラスの挙動の研究2009

    • 著者名/発表者名
      井口亮
    • 学会等名
      日本物理学会第64会年次大会
    • 発表場所
      立教大学
    • 年月日
      2009-03-27
  • [学会発表] Cd欠陥を取り除いたスピングラス半導体Cd_<1-x> Mn_x Teの光照射下でのエイジング現象2009

    • 著者名/発表者名
      沼田展明
    • 学会等名
      日本物理学会第64会年次大会
    • 発表場所
      立教大学
    • 年月日
      2009-03-27
  • [学会発表] ガラスコートにより粒子間距離を制御された強磁性微粒子系が示す磁性とスーパースピングラスの比較2009

    • 著者名/発表者名
      廣井孝介
    • 学会等名
      日本物理学会第64会年次大会
    • 発表場所
      立教大学
    • 年月日
      2009-03-27
  • [学会発表] スピングラスの微小領域における異常ホール効果測定II2008

    • 著者名/発表者名
      井口亮
    • 学会等名
      日本物理学会2008年秋季大会
    • 発表場所
      岩手大学
    • 年月日
      2008-09-20
  • [備考]

    • URL

      http://www.appi.keio.ac.jp/annrepl/2007/sato.html

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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