研究概要 |
量子渦生成を試みる対象として、^<87>Rb原子気体のボース・アインシュタイン凝縮体を磁気トラップ中に生成した。使用した磁気トラップはIoffe-Pritchard型の磁場配置で、この磁場によって発生させた軸対称性を持つ3次元調和型ポテンシャル(最低磁場1.9Gで、動径方向および軸方向のトラップ周波数がそれぞれ2π×160Hz、2π×18Hz)を利用して、電子基底状態5s ^2S_<1/2>の超微細構造準位F=2,m_F=2の^<87>Rb原子を捕捉した。磁気トラップへの原子の導入は二重磁気光学トラップ法によって行い、約6×10^8個の原子をおよそ0.6mKで捕捉したのち、この低温原子集団に対してRF蒸発冷却を行うことでボース凝縮体を生成した。得られた凝縮体の原子数は約2×10^5個、化学ポテンシャルは40nK程度であり、渦生成に必要な凝縮体を準備することができた。 また、誘導ラマン遷移を利用した量子渦生成に必要な、外部共振器からの光帰還法による狭帯域単一モードレーザー光源の製作も行った。光源には波長784.7nm、出力30mW程度の半導体レーザー素子を使用した。出力光をレンズでコリメートしたのち、偏光ビームスプリッタで2本のビームに分岐し、その一方を共焦点型ファブリ・ペロー共振器(FSR=1.5GHz,フィネス〜100)に導入した。この外部共振器からの反射光をレーザー素子に戻すことによって帰還を行った結果、共振器の共鳴周波数にレーザー発振周波数が引き込まれ、外部共振器の共鳴周波数に追従して光周波数を制御することができた。共振器の透過光強度から見積もった周波数安定度は、数MHzの測定精度以下であった。
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