研究課題/領域番号 |
20654040
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山本 潤 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10200809)
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研究分担者 |
高西 陽一 京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (80251619)
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キーワード | トポロジー / ガラス / ヘテロジニテイ / 動的不均一 / 過冷却 / ブルー相 / 高分子安定化 |
研究概要 |
今年度は、スケールの異なる運動モードについて実験を行い、トポロジカルガラスに特有の現象とバルク液体にも現れる現象を対照し、"ガラス転移"に普遍的なメカニズムを理解する。 I. ガラス化が起こらない状態申請者が発見したトポロジカルガラス状態は、モノマー・ダイマー混合系の6~14%という極めて狭い濃度範囲でしか実現されない。このことは、トポロジカルガラス状態が実現される機構に、ダイマーとモノマーの濃度が極めて重要な役割を担っていることを証明している。そこで、ガラス化が起こる領域と起こらない領域に分けて、精密な濃度依存性の測定を行い、各階層における運動モードがダイマー濃度によってどのよう1に変化するかを観測した。 II. 高分子安定化状態での測定高分子安定化スメクティックブルー相の高分子安定化状態では、メゾスケールの配向揺らぎは、より大きなスケールでのフォトニック構造変調モードとは結合せず、安定化状態でのダイナミクスは熱力学的に安定なオリジナルの相とほとんど変わらないことが明らかとなった。従って、コレステリックブルー相の高分子安定化状態同様、高分子安定化過冷却状態では、ガラス転移点近傍のスローダイナミクスはみられない。 III. トポロジカルガラス状態のダイナミクストポロジカルガラス状態では、通常の液体のガラス転移点近傍と同様に、ある種の自由度に強いスローダイナミクスが現れることがわかった。しかしながら、X線回折測定のようなミクロなプローブで観測すると、液体のガラス化とは異なり分子の運動性は全く凍結していないことがわかった。IIの高分子安定化状態と比較すると、この特殊なガラス化現象は、まず欠陥の存在により層のトポロジカルな再配置が凍結され、欠陥を通して各ドメイン内の自由度が弾性的に広い空間に相関を広げて行くためと理解できた。
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