研究課題
先太陽系物質は微小であることが予想されたため、空間分解能を向上させたCHIME年代測定法を開発した。そのため、モンテカルロシミュレーションにより56億年の年代のトリアナイトを仮定してエックス線の発生領域を求めた。モンテカルロシミュレーションには、Kato(2007)で用いたソフトウェアを改良したものを用いた。その結果、分析条件によっては1ミクロン以下の粒子でもCHIME年代測定が実現できる可能性があることが明らかになった。さらに、年代が古いことから鉛の濃度が高いことが予想されるため、照射電流を小さくすることによりプローブ径を小さくした場合の空間分解能について検討した。その結果、タングステンフィラメントを用いた場合でも、先太陽系物質の高トリウム粒子であれば0.5ミクロン程度の空間分解能でCHIME年代測定が可能であることが明らかになった。これは、ショットキ放出型電子銃にほぼ匹敵する空間分解能であると考えられる。測定法について今後実証実験を行ったうえで公表する予定である。現有のJXA-8800型電子プローブマイクロアナライザーを用いてアレンデ隕石のX線マッピングを行った。測定した元素は、Al, Th, Feである。マッピングにより高トリウム粒子を探索したが、用いた試料中には高トリウム粒子は含まれていなかった。十分小さな移動ステップで高電流によるマッピングを行ったにもかかわらず発見されなかったため、現有のアレンデ隕石試料中には、CHIME年代測定が可能な高トリウム粒子は含まれていないと結論付けられる。
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