研究概要 |
温度圧力履歴が精密に解析されている東南極リュツオホルム岩体において,変成度と石英や珪線石中のFe^<3+>含有量の関係を調べるために,岩体を構成する主要変成岩類であるザクロ石珪線石片麻岩の石英や珪線石,チタンー鉄酸化物の精密鉱物化学分析と記載を行った.この研究過程で,スカレビークスハルセンのザクロ石珪線石片麻岩から,イルメナイトールチル平行連晶中にアーマルコライトの化学組成を持つドメインを見いだした.このドメインはイルメナイトールチル極細超微細結晶の集合体であることをラマン分光分析実験により明らかにした.このことは,最高変成作用時にアーマルコライトが形成され,それにつづく後退変成作用時にイルメナイトとルチルに分解したと考えられる.このことを検証するために,ルチルを包含したザクロ石斑状変晶の分解反応を行った.1気圧の条件では,1040℃以上でアーマルコライト,ルチル,イルメナイト3相が共存することを実験的に明らかにした.この研究成果は,英国鉱物学会(Annual Meeting 2009 of the Mineralogical Society, MAPT : Micro Analysis Processes Time, Edinburgh, United Kingdom)で発表した.
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