本研究では小惑星の表面年代(天体そのものの形成年代ではなく、天体の現在の表面が形成された年代)を決定する新しい方法を試行する。これまでの表面年代の決定法とは全く異なる原理を用いる。具体的には、小惑星の表層から飛来した隕石の反射スペクトルと希ガス同位体分析を行い、小惑星表層の"宇宙風化作用"による反射スペクトルの変化を百万年刻みで推定する。これらのデータから、反射スペクトルの観測データがある多数の小惑星の表面年代を求める。小惑星帯の形成進化過程を解明する端緒とする。 今年度は炭素質コンドライト隕石6種の岩石学的、鉱物学的研究を行い、本研究の対象として適する試料を探した。6種の隕石片を樹脂に包埋し研磨し、電子顕微鏡および放射光X線によるX線回折分析を行った。その結果、6種の試料のうち本研究に適した角礫岩である試料は、1試料(RBTO4143)であった。この試料と現在反射スペクトルの測定を依頼中の2試料、さらに来年度購入予定の試料を含めて総合的に分析を進める予定である。
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