研究概要 |
DNAの解析など大量試料のハイスループット・センシングおよび微小領域センシングへの期待が高まり,センサの微小化が要求されている。このような背景から,分子デバイスセンサ,特に電子型デバイスが次世代センサとして注目されている。本研究計画では,このデバイスの作製技術である分子一電極接合を現時点で利用が容易なマイクロメータ加工技術で作製する方法について研究を行う。ここで開発する電流型のセンサは光学系を必要とせず,計測が電流計のみで可能となる。また大規模all-in-one-chipセンサ素子の作製に当たっても,簡単な装置構成が可能となる。 このような目的の下,今年度の計画では,分子-金属接合体の作製手法の探索を主な研究課題とした。その結果,金属電極間に金被覆を行ったマイクロビーズとの間で良好な導電性が観測された。このマイクロビーズは数マイクロメータ径のポリスチレンビーズを30nmの金ナノ粒子で被覆したもので,ビーズ自体が導電性を示す特徴があり,当研究室の技術で作製されたものである。興味深いことにこの金ナノ粒子被覆膜自体に分子接合があり,被覆時に使用するバインダ(アルカンチオールやジチオールなど)の分子長によりその電気伝導性が変化した。このように,安定な金属-分子-金属接合は比較的容易に得られることが実験的に判明したので,今後分析化学的な応用,特に微小化学センサへの適用を目指して研究を行いたい。
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