研究概要 |
超臨界二酸化炭素中で、立体規則性ポリマーであるアイソタクチックポリプロピレンに対して二酸化窒素を用いて140℃18時間の条件で酸化し、その生成物をジアゾメタン処理しメチルエステルとしGC-MSを用いて構造を調べたところ、2-メチルコハク酸、2,4-ジメチルグルタル酸、2,4-ジメチルアジピン酸であることがわかり、これらのジメチル体はいずれもシン体が立体選択的に得られたことを別途合成して確かめた。また、ポリプロピレンの立体規則性の純度と同割合で、シン体アンチ体が立体選択的に得られることを確認した。これらはマクロライドの開発研究に用いられるような付加価値の非常に高い化合物であり、ポリプロピレンの廃棄物からファインケミカル原料が生成できる可能性を示唆している。 架橋ポリエチレンに60℃で二酸化窒素を付加したのち二酸化炭素を加え140℃2時間超臨界状態で処理すると、架橋部が選択的に酸化切断され、熱可塑性が復活することを明らかにした。ラジカルの二酸化窒素は架橋ポリエチレンの架橋部に選択的に付加することをモデル化合物の反応で検証した。二酸化窒素が付加した架橋部は活性化し、超臨界二酸化炭素中過酸化水素水を用いて120℃で酸化するとより選択的に熱可塑化でき、可塑化前のポリエチレンの分子量成分を多く残すことが分かった。このことにより分子状酸素でも熱可塑化する簡便な処理法の道を開いた。処理した生成物はIRによりカルボキシル基の存在が確認でき、アイオノマー類似の構造であることがわかった。従って元のポリエチレンよりも付加価値がかなり向上したものにリサイクルできる可能性を示した。
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