エネルギー産生基板の開発を行うための準備段階として、固定化酸性触媒の開発を検討した。すなわち、エチレンオキシド-ピリジウム高分子とリンタングステン酸との水中でのイオン性分子もつれにより、不溶性の高分子リンタングステン触媒の開発に成功した。この触媒を用い、過酸化水素水を再酸化剤とした、アルコールの酸化反応を検討した。その結果、本触媒は分解、ゲル化することなく効率的に酸化反応を促進させ、対応するカルボニル化合物を高い収率で得る事に成功した。現在はアルコールからの水素発生反応、すなわちアルコールの脱水素化への適応を目指しており、効率的な水素発生触媒システムの構築につとめている。 またエレルギー産生基板を行うべく、我々独自の方法論である分子もつれ法により、マイクロ反応装置内に様々の高分子パラジウム触媒膜の導入を検討した。その結果、ポリビオロゲン-パラジウム触媒膜、ポリビニルピリジン-パラジウム触媒膜、ポリアクリルアミド/ホスフィン-パラジウム触媒膜がマイクロ流路の層流界面に導入された、マイクロ反応デバイスの開発に成功した。この反応デバイスを用い、アリル位アリール化反応を行ったところ、滞留時間1秒で対応する生成物を定量的に得られることを見出した。パラジウム触媒はアルコールの脱水素反応に有用であることをすでに我々は報告しており、今回開発されたパラジウム触媒膜導入型マイクロ反応デバイスをアルコールの脱水素化に適用し、マイクロデバイスによる水素発生装置の開発をめざす段階へ進むことができた。
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