研究課題/領域番号 |
20655040
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研究種目 |
萌芽研究
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
中村 雅一 千葉大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (80332568)
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研究分担者 |
酒井 正俊 千葉大学, 大学院・工学研究科, 助教 (60332219)
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キーワード | 再生可能エネルギー / 廃熱利用 / 電子・電気材料 / 有機導体 / 強相関電子系 / 有機半導体材料 / ゼーベック係数 |
研究概要 |
有機エレクトロニクスの将来像の一つであるウェアラブルエレクトロニクスなどの電力源として、有機半導体や有機導体材料を用いた熱電変換素子を創出することを発展的目標とする。そのために、高い熱電変換特性が得られる有機材料をスクリーニングし、有機温度差発電素子のための基礎的な検討を行うことが本研究の主目的である。 平成20年度は、まず、有機材料に特化したゼーベック係数測定装置を構築した。有機材料は大気中で不安定なものが多く、水や酸素の存在によって材料の酸化やキャリアドーピングが起こってしまうものが多い。そのような材料を大気中で評価すると、キャリアドーピング量に依存するゼーベック係数が再現性良く得られず、正当な評価ができない。そこで、高真空暗所で薄膜蒸着してその場で測定を行い、必要に応じて酸素などのガスも導入できるようにした。また、薄膜状の小面積試料に対して適切な温度勾配を付与できる試料ホルダーを設計・製作した。さらに、極めて導電率の低い試料も測定できるよう、高入力インピーダンス差動増幅回路を自作し、それを3組用いることで、試料上2点間の温度差と電位差を高精度で測定できるようにした。この装置を用い、典型的な3種の有機材料について試験的にゼーベック係数と導電率を測定した。高純度ペンタセンのその場測定により、極めて導電率が低い材料のゼーベック係数を測定できることが確認された。その際、一般にp型半導体材料として知られているにも関わらず、高純度なペンタセンの多数キャリアは電子であることが判明した。高密度にアクセプタドープしたDPh-BTBTの測定では、1.2mV/Kという比較的大きいゼーベック係数が得られた。また、有機導体であるTTF-TCNQの測定では、ゼーベック係数こそ小さいものの、室温での無次元性能指数3.3×10-6が得られ、有機導体系も熱電変換材料として有望であることが確認された。
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