溶液再結晶法による平行六角形有機単結晶の成長: 開発を続けてきた溶液再結晶法において、使用溶媒、ヒーター加熱方法、放熱板の材質などを検討した。その結果、従来は測定に使用できるほどの大きさの結晶成長が困難であった分子長の長いオリゴマーでも平行六角形状を持つ結晶を基板上に直接成長することに成功した。これに加え、昇華再結晶法や最近開発した近接蒸着法によっても、レーザー共振器として働く平行結晶面を有する良質な結晶が得られた。 これらの結晶を非干渉光で励起したところ、複数のオリゴマー分子(BP1T、BP1T-OMe、AC'7、BP3Tなど)の結晶試料において、多モードのレーザー発振を確認した。このうち幾つかの結晶では、レーザー発振の重要なパラメーターである屈折率の算出に成功した。 ロイドミラー法による干渉露光励起: ロイドミラー法による干渉露光を実現すべく精密な光学系を構築した。これを用い、AC5結晶試料を光励起し、狭線化発光を見出した。その際、結晶表面からではなく、(ガラス)基板面からの励起がより効果的であるという知見を得た。また干渉露光と光硬化性樹脂を用いた回折格子を試作し、非干渉光で励起したところ、(ガラス)基板面より励起した場合に狭線化発光を観測した。以上の結果は、有機結晶/ガラス界面が重要な役割を演じていることを示すものである。
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