3d遷移金属窒化物は熱準安定性であり、数百℃以上に加熱すると窒素を放出して遷移金属が析出する。析出を制御してできる遷移金属の微細な構造によって発現する性質を利用するメタマテリアルを目指して研究を進め、以下のような研究成果を上げることができた。 1)高周波スパッタ法で石英ガラス基板上に成膜したウルツ鉱型Al_<0.5>Fe_<0.5>N薄膜を450~600℃でポストアニールして、α-Fe微粒子がAlN中に分散したグラニュラー薄膜を得た。これらのグラニュラー薄膜はマイクロ波領域で強磁性共鳴を示すところから、負の透磁率が実規した。なおα-Fe微粒子粒子径の関係で、450℃でアニールした場合に最も大きな共鳴吸収が観測された。 2)熱拡散性のよいAlNを下地膜とした石英ガラス基板上に成膜した閃亜鉛鉱型Fe_<0.7>Al_<0.3>N薄膜(約2kΩ)に、窒素雰囲気中で波長809nmの半導体レーザーを出力2.5W、走査速度1mm/sでレーザー描画して、線幅200μmで導電性の良いα-Feの微細線(約300Ω)を引くことができた。金属中ではプラズマ周波数以下では誘電率が負になる。 これらの負の透磁率を負の誘電率と組み合わせることによって、負の屈折率が実現できると考えられる。
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