研究概要 |
Ga_2O_3の炭素熱還元でGa_2Oガスを発生させ、NH_3ガスによって窒化する作製プロセスによって、1180℃で2-8時間GaN結晶を成長させ、自立型結晶バルク体を得てその特性を明らかにした。このため、長時間にわたる原料Ga2O3/Cの連続供給装置を自作した。 この方法で、多数の雑結晶を含む最大2x1.5mmのGaN単結晶を育成した。この結晶のc-軸と平行および垂直方向での成長速度は、それぞれ、0.29mmh^<-1>と0.11mmh^<-1>となり、Naフラックス法で成長させた速度(20μmh^<-1>)と比較してもかなり高い成長速度を示した。この高い速度は、NH3によるGaNの分解・成長プロセスによって、安定面を持つ結晶のみ大きく成長したものと推察した。このGaN結晶の結晶性をX線のロッキングカーブ測定、ラマン分光から求めた結果、非常に高い結晶性を持つことを明らかにした。SIMS分析によって、結晶中に含まれる不純物の酸素、水素、珪素と炭素を求めた結果、酸素濃度は4-9x10^<20>atoms cm^<-3>と高い値を示したが、成長時間による大きな差異はなかった。水素濃度は成長時間が短い(2,4時間)と3-4x10^<19>atoms cm^<-3>となり比較的高く、6,8時間になると二桁ほど低く(<6x10^<17>atoms cm^<-3>)なった。 CL測定による結果、4時間で成長したGaN結晶は、3.4eVと1.8eVに比較的弱く幅広い発光ピークが観測され、8時間成長の結晶は3.5eVにバンド端と関連した強い発光ピークが現れた。特に、このバン端の発光エネルギー(3.54eV)はMOCVDで作製した膜(3.42eV)より120mVほど高エネルギー側にブルーシフトしていた。
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